地域の風景を取り戻したい!前橋で活動する『風景修復士』栗原大輔さんのインタビュー

都市と自然が共存する街、前橋。市の中心部では、自動運転やAIなど最先端のテクノロジーを活用したまちづくりが進む一方、郊外の赤城山エリアでは「スローシティー」をコンセプトに、スピードや経済性よりも、地域の文化や自然を大切にしたまちづくりが進められています。


そんな前橋から毎回地域で活動する人にフォーカスし、キャリアモデルという考え方をもとにその人の生き方や活動への思いを紐解いてきます。


今回は、前橋市宮城地区出身の栗原大輔さんのキャリアモデルをご紹介します。
「20歳まで1回も旅をしたことなかった。」と語りながらも、日本一周ヒッチハイクの旅や約1年間の世界一周など、決意したコトに率直に取り組んでいく自然体な姿が印象的です。


一方で、地域の課題に真剣に向き合いながら活動されています。最近では、株式会社「TSUNAGU」で賃貸案内や空き家管理の業務を行うとともに、同社で古道具の回収・整備・販売などの事業「ひの芽」を立ち上げました。インタビューからは、そんな栗原さんの活動の原動力が見えてきました。

●前橋市地域おこし協力隊の鈴木雄祐です。協力隊活動の傍ら、キャリアモデル開発センター前橋という活動を行っています。本日はその一環として、お話を伺わせてください。
まずはじめに、今までの活動について、お伺いできますか。

栗原:はい、出身は前橋市の宮城地区で、大学は群馬大学の社会情報学部へ進みました。大学では地域社会学を選びました。でもこれはなんとなくというか、その授業を担当していた教授の話が面白かったからなんです(笑)

●なるほど(笑)!大学卒業後は、どんなことをされていたんですか?

栗原:大学卒業後は、世界一周の旅をしていました。今まで何かをやりきったことがなかったから「自分で何かやりきりたい」っていう気持ちとともに、日本から出たことがなかったから、海外を見てみようと思って、世界一周をすることにしました。
約1年半ほどで34カ国をまわり帰国しました。帰国後は、前橋の街中で居酒屋の店長を2年弱働いたあと、赤城山麓で古民家ゲストハウス&カフェをまた2年弱やっていました。

大学在学中の日本一周ヒッチハイクにもトライした。計118台の車に乗せてもらい、無事日本一周を達成。出発時1万円だった所持金が帰ってきたら6万円になっていた。


●どうして赤城山麓で古民家ゲストハウス&カフェを始めようと思ったんですか?

栗原:最初は前橋の街中で1階がカフェ、2階がゲストハウス、3階がシェアハウスというのをやりたかったんです。市内に当時ゲストハウスはなかったこことや、学生や若者が集まる場所があまりなかったことから、集まれる場所を作り、起業などのチャレンジをサポートをしたかったんです。でも生まれ育った宮城地区へ帰ったとき、思った以上に宮城地区の過疎化が進んでいると感じて、街に作ろうと思ったけど、「ヤバいな、やっぱり山に作ろう」って思ったんです。ちょうどそのとき、赤城山麓で入居者を募集している古民家があって、そこで古民家ゲストハウス&カフェを始めました。


●生まれ育った宮城地区での体験が、栗原さんの活動の原点なんですね。現在はどんな活動をされていますか?

栗原:最近は、主に不動産を生業とする株式会社「TSUNAGU」で、賃貸案内や空き家管理などを手伝うとともに、古道具の回収・整備・販売などを行う事業「ひの芽」を立ち上げました。


●古道具に関する活動「ひの芽」をスタートさせたきっかけは何だったんですか?

栗原:株式会社「TSUNAGU」で空き家を管理する際、課題となるのが家に残された大量の家財の処分方法です。古民家には、たくさんの家財が残されたままのことが多く、それをどう処理するかが課題です。
例えば、古いたんすなど、まだまだ価値のある古道具が残されていることもあります。そこで、古道具を再利用を進める事業をスタートさせました。

長年使われてきた大きな箪笥(たんす)も回収し再利用へ


●以前、やっていた古民家ゲストハウス&カフェ、現在の株式会社「TSUNAGU」での空き家管理、そして「ひの芽」の活動など、栗原さんの活動の中心には「空き地、空き家」についての課題解決があるんでしょうか?

栗原:そうですね、「田舎が廃れてしまうのをなんとか食い止めたい」という思いがありますね。

●Facebookで拝見したのですが、風景修復士という肩書きを自ら名乗られてましたね。

栗原:はい、「半農半X」という本の著者、塩見直紀先生が考えたもので、許可をもらってそれを使わせてもらっています。塩見先生のイメージする風景修復士は、「荒れ果てていた田んぼが再び実る風景」を目指して活動することだと思います。

●まさに、栗原さんも風景修復士の活動をしていますね!

栗原:はい、自分の活動について塩見先生に伝えたら、「栗原くんのやっている活動も風景修復だよ。」と言ってもらえました。

●今後、何かやりたいことはありますか?

栗原:ゲストハウスを開く機会があれば、またやりたいなと思います。また、株式会社「TSUNAGU」の活動では、空き家になった別荘の宿泊管理もできるようになりたいと思います。空き家になる別荘が多いですが、宿泊管理の許可を持つ会社は群馬県内には8社しかありません。そこで、「TSUNAGU」でもその認可を受け活動することで、以前ゲストハウスをやっていた経験も生かせるのではないかと思います。

●そうなんですね。いろいろな活動がしっかりと繋がっていますね!

栗原:そうですね。何でも繋ぐことができると思っています。ヒト、トキ、空間、全てを繋ぐことができますね(笑)そのうち仕事も紹介するかもしれません(笑)

●おお!すばらしい。お話ありがとうございました。

 

栗原大輔さんのSNS

−Twitter:https://twitter.com/krhrdisk26

−Facebook https://www.facebook.com/daisuke.kurihara.779

株式会社『TSUNAGU』

『ひの芽 古材古道具』

キャリアモデル視点から見る栗原さんの活動

株式会社『TSUNAGU』では空き家などの管理と古道具の再利用の事業を行う栗原さん。

栗原さんの現在の活動を『キャリアモデル図』にまとめました。

3つの活動があり、一見すると異なる分野に見えるそれぞれの活動も、「地域の空き地、空き家問題の解決」という点でシナジー(関係性)があります。

そして、『ひの芽』の活動には『古道具再生士』という職業をつけさせていただきました。

さらには今後、風景修復士としての活動も期待です。

例えば、農業の経験もある栗原さんが地域の人への田植え体験を行い田んぼを蘇らせたり、空き家や空き地で古道具を販売する市場を開くなどによって、地域がにぎやかになり、風景の修復へ繋がるといったこともあるのではないでしょうか。

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